完全食のデメリットを様々な観点から考えてみました
完全食は人間が生きていくうえで必要な栄養素を全て満たした食品として、いま注目されています。とはいえ完全食にもデメリットはあります。いまのところメリットが非常に大きいため語られることも少ないかもしれませんが長期的な視点でデメリットについて考えてみましょう。
今回はあえて完全食のデメリットを考えてみることにしましょう!
健康の観点から見たデメリット
完全食はタンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルなど、必要な栄養素を過不足なく満たした食べものです。栄養価だけを評価すれば満点であり、健康上のデメリットはないように思えます。しかし、完全食は気軽に摂れるがゆえに意外な落とし穴があるのです。
噛む力が弱ってしまう?
完全食はいろいろな形状のものが登場していますが、最もポピュラーなのはパウダータイプとドリンクタイプです。パウダーは水に溶かして、ドリンクはそのままゴクゴクと飲むだけなので、手早く栄養補給ができるのがメリットです。しかし、全く咀嚼しないので、パウダーやドリンクの完全食ばかりを摂っていると、噛む力が弱ってしまいます。
では噛む力が弱るとどのような悪影響があるのでしょうか?噛む力の低下は歯や顎の退化に繋がるため健康的にもやや問題です。また噛まなくなることで代謝の低下の原因となり、肥満に陥りやすくなるかもしれません。
そのため、You tuberの企画のような「パウダーとドリンクだけで1ヶ月生活」などの摂取は控え、噛む食事をしっかりとすることが大事です。
人柱としてチャレンジしてくれているからありがたいけどね(笑)
つい見ちゃうね。
もちろん完全食にはパン、パスタ、ヌードルなど噛む必要がある形状もあり、一概に完全食を摂り続けると噛む力が弱るとは言えません。これからの完全食の業界では、噛むことを考えた商品開発が進んでいくでしょう。
嗜好(しこう)の観点から見たデメリット
食事には体を動かすのに必要なエネルギーや、体の機能を維持する栄養素の補給をする役割があります。完全食はこれについては満点と言えるでしょう。しかし、味・見た目・食感といった嗜好(しこう)に関する機能については不十分と感じる人もいるかもしれません。
味の好みが分かれる?
完全食は味の好みが分かれます。野菜のような農作物とは違って人が作り出した食べものですから、味に敏感な人は違和感があるかもしれません。さらに必要な栄養素を含んでいるために、味に独特のクセがあり、苦味を感じる人もいます。このあたりは完全食を食べる人の工夫も必要でしょう。完全食のアレンジレシピなども多く公開されています。
味に飽きてしまう?
完全食は味に飽きてしまうのがデメリットです。それは私たちが普段、様々なヴァリエーションの食事をして、美味しいものを良く知ってそれらと比較をしてしまうからです。
まあ、そうだよね。絶対比べるよね。
完全食は少しずつ普及しているとはいえ、現在のところ味の種類は限られています。食事の嗜好(しこう)に関する機能を満たすには、味や香り、食感に変化をつけることが大切なのです。
その外にも、食べ方に工夫が重要です。1日3回完全食を食べるということは体にとっては健康的かもしれませんが、他に美味しいものを食べられないというストレスを感じてしまうかもしれません。そのため、ストレスを感じない範囲で試すべきでしょう。
コミュニケーションの観点から見たデメリット
食事は単なる栄養を補給する作業ではなく、人と人を繋ぐコミュニケーションの機会でもあります。特に食事にこだわりがないからといって、人と顔を合わせることもなく一人で黙々と食事を済ませていたら、家族や会社の同僚とコミュニケーションを取る機会が減ってしまいます。それは食育の場が失われることにも繋がります。
家族や同僚との会話が減る?
例えば100年後に完全食が当たり前の時代になり、「食事は栄養さえ満たせれば十分」という価値観が根付いたら、和気あいあいとした食事風景は見られなくなるでしょう。みんなが毎日のように完全食で手っ取り早く食事を済ませるようになったら、家族や同僚と顔を合わせて食べる機会は少なくなります。
そうなったときのデメリットは家族や同僚との会話の減少です。会話をする機会はなにも食事のときだけではありませんが、食事のときの会話は生活の中でも重要なコミュニケーションの場面でしょう。
いずれにしても完全食によって食事の時間が短くなり、一人で食べる機会が増えてしまうと、コミュニケーションの機会が減って円滑な人間関係を築くことが難しくなる危険性があります。
難しいところだね。効率的に時間を圧縮できる反面、今までの生活スタイルが変わってしまうからね。
食育の場が失われる?
完全食だけを摂るようになると食育の場が失わる危険性もあります。食事には3つの機能があり、1つ目は栄養素としての機能、2つ目は嗜好(しこう)の機能、そして3つ目は生体調節の機能です。これは生活のリズムを整えたり、病気予防に関する機能のことです。
食育は食事を通して食べ物に興味を持ってもらうことで、食事に関する正しい知識を身につけるのが目的です。近年では共働き家庭が当たり前になったことで、朝食を食べなかったり、栄養が偏っている子どもが増えています。
朝食の欠食は現在も進んでおり、社会的にも大きな問題となっています!
食育は朝食を食べる習慣を身につけたり、食べ過ぎによる肥満を予防したり、栄養バランスへの意識を高める重要な役割を担っています。
現在、完全食を活用している人は栄養に関する知見や興味が高い人たちが非常に多いと思われます。健康や美を意識するために完全食を活用することが合理的であると考えているためです。
そうだね、完全食食べてる人は意識高い系の人が多いね。
栄養に詳しいから興味を持つってことだもんね。
しかし、単純に栄養の知識がなく思考停止状態で完全食を活用する時代がやってくると食育の場などが失われてしまうかもしれません。
産業の観点から見たデメリット
完全食の普及は100年後の産業構造を変えてしまう可能性があります。誰もが完全食で効率良く栄養補給できる時代になったら、スーパーで野菜や魚を購入して調理するのは面倒に感じてしまうでしょう。その結果として、農業・水産業・畜産業のあり方が変わることが予想できます。さらに外食する機会が減って、外食産業も大きく変化することになります。
完全食が世界で活用されるようになるとその影響は非常に大きくなるでしょう。
これまでのような農業や漁業が変化する?
もし100年後に人が完全食を摂るのが当たり前の時代になったら、これまでのような農業や漁業は大きく変わります。
農作物や水揚げした魚を市場に出荷して、スーパーなどの小売店の店頭に並べる、このような流通経路は不要になります。完全食の生産に必要な食材のみが工場に運ばれて加工され、生の食材が店頭に並んでいる光景は珍しくなるかもしれません。
これは農家が完全食の生産に必要な食材を栽培する仕組みに変わることを意味しています。漁業や畜産業も同じです。珍しい種類の野菜や、メロンやマンゴーなどの高級フルーツ、食通を納得させる高級和牛などは、今まで以上の希少な食べものになるかもしれませんね。
飲食店のあり方が変わる?
完全食の普及によって外食産業は大きく変わるでしょう。完全食のみを提供する飲食店の登場はおそらくすぐに実現するでしょう。完全食は今後もアップデートされ、これまで以上に現代人の好みに合った味の商品が販売されるようになります。
そうした場面においてこれまで「美味しい」に軸を置いていた飲食店などが大きな舵切に迫られることになるかもしれません。
このあたりはすでにやってきているよね、健康志向のレストランとかはもうあるから。
まとめ
完全食のデメリットを健康・嗜好・コミュニケーション・産業の4つの観点から考えてみました。今のところ、完全食を活用するメリットが非常に大きいためにあまり論じられることもないのですが、長期的な視点で商品開発が進んでいくと良いですね。
今回は完全食のデメリットを考えてきました。次回も完全食について取り上げます!
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