ソイレントとは何か？世界初となる完全食としての商品開発！

巷で注目を浴びている完全食。何度か耳にしたことがあるよという方も多いことでしょう。「完全食はそもそもどのように誕生してきたのだろうか？」と、気になる方も多いことかと思います。そこで、今回は、完全食の元祖である“ソイレント”(Soylent)について、誕生の背景から商品のラインアップまでを丸々お話ししていきます。

今回は完全食の登場の歴史と「ソイレント」について取り上げていきます！

世界初となる完全食としての商品開発！

完全食とは、人が1日に必要とする栄養素のすべてをバランスよく含んだ食品のことを指します。実は、ドックフードや流動食、卵も完全食であると言われているのをご存知でしょうか。ここでは、ソイレントのような完全食と、ドックフードや流動食、卵との共通点や違いについて細かく見ていきます。

実はドッグフードは完全食

まず初めに、ドックフードは完全食と同じものと言えるでしょう。というのも、ドックフードと完全食、その考え方はどちらも同じなのです。

まあ、ペットフード全般がそういった考え方で作られているってことだよね。もちろんそれぞれの商品で違いはあるんだろうけど。

ドックフードの中にはいくつか大きな分類があり、その中で総合栄養食と言われるものが毎日の主要な食事として用いられるものです。

この総合栄養食は、一般法人団体・ペットフード協会によると、「当該ペットフード(総合栄養食)と水だけで、指定された成長段階における健康を維持できるような栄養素的にバランスのとれた製品である」と定義されています。

そして、完全食は、「健康を維持するために必要な栄養素を全て過不足なく含んだ食品」です。つまり、私たちは、それ(完全食)と水のみで、生きていくために必要な栄養素を全て得られ、健康を維持できる、ということです。

このように、ドックフードと完全食の定義を並べてみると、どちらも同じように作られており、双方、栄養面において完璧な食事であることがよくわかります。

病院の流動食は完全食の元祖？

病院の流動食は、口から食事を摂ることが困難な方が、胃ろう(お腹に穴をあけ、胃に管を通したもの)などを介して栄養を取り込むための食事などとして用いられます。この流動食には、必要な栄養素が全て含まれており、病院では流動食だけで10年以上生活している方もいるようです。

完全食は、必要な栄養素を全てバランスよく含む食品ですから、流動食と考え方が似ています。

そっか、流動食も生命活動を維持するために必要な栄養が含まれているものなのね。

また、流動食は栄養を摂ることを第一に考えられており、ソイレントのような完全食も同じく、嗜好性については二の次のようです。このことからも、流動食と完全食の考え方はとても似ていると言えます。

完全食よりも流動食の方がずっと前からあるわけですから、完全食の考え方の基礎は、病院の流動食にあるといってもいいのではないでしょうか。

自然界で最も完全食に近いのは卵か？

自然界の食品のなかでも、一番完全食に近いと言われているのが卵です。しかし、詳しくみるとソイレントのような完全食との違いが見えてきます。

完全食を細かく分類すると、『完全食』と『準完全食』に分かれます。『完全食』とは、必須栄養素に過不足が一切ない食品を指し、『準完全食』とは、栄養バランスは非常に良いが必須栄養素の過不足はある食品のことを指します。

ちなみに、このサイトでは「準完全食」の製品なども「完全食」の種類の1つとして紹介しています。

ソイレントのような完全食は、必要な栄養素を過不足なく全て含むよう作られているので『完全食』に分類されます。

一方、卵は、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミンをバランスよく含み、ほぼほぼ完全食といえる食品です。しかし、卵にはどうしても補えない栄養素があり、それがビタミンCと食物繊維です。栄養価は高いですが、ビタミンCや食物繊維が不足しているので、卵は『準完全食』に分類されます。

卵を『完全食』としていただきたいのなら、他の食材でビタミンCや食物繊維を補う必要があります。

ソイレントとは何か？

自然界の食べ物では、どこまでいっても『準完全食』であり、『完全食』の実現は厳しいものであり、人々は、完全食を作り出すことは不可能だとされてきました。しかし、ロブ・ラインハートは、現代の技術を用いて完全食を開発することに挑みました。そうして誕生したのが、「ソイレント」でした。ここでは、ソイレント誕生までのストーリーをお話ししていきます。

ソイレント商品開発の背景とは

ロブ・ラインハートは、当時、テック系のスタートアップを試みる若者でした。しかし、起業は失敗に終わり、残されたわずかな資金で日々の食事をどうしようかという問題に直面したのです。

ロブ・ラインハートはなんとか食べていくためにも、安いジャンクフードのみの生活や、ケールダイエットなど、いくつかの方法を試しましたが、全て失敗に終わったそうです。

そこで、ロブ・ラインハートは気が付いたのです、現代の食事は、あまりにも非効率的であると。健康を維持することのできる食事には、時間や労力、手間、そしてなによりも高い食費がかかるからです。

「健康格差」って言葉もあるとおり、健康的で美味しいものを食べるには時間もお金もかかるよね…。

ならば、もっと効率的な食事があるだろうと考え、ロブ・ラインハートは、『完全食』ソイレントの開発に取り組むことにしたのです。

「わたしはいかにして食べるのをやめたか」

ロブ・ラインハートは『完全食』を開発するにあたり、私たちが必要とするのは、牛乳でもパンでも野菜でもなく、そこに含まれるアミノ酸やビタミンなどの栄養素であると、考え付きました。

必要な栄養素を摂るためだけに、食事を準備することは、複雑であり、高価で不安定、やはりロブ・ラインハートにとって現代の食事は非効率な方法でした。それならば、化学成分を調合して直接必須栄養素を摂取できるような食事をつくろうと考えました。

その発想が面白いね。栄養士や調理師なんかが持ってない考え方だよ。

まず、ロブ・ラインハートは人が生きるために必要な栄養素、35種を知ることから初めました。そして、それらの栄養素を含む粉末や錠剤などを買い集め、水と共にブレンダーで混ぜ合わせたもの(化学物質の塊)だけを、自らが実験体となり、一か月摂取し続けました。

その結果は何も問題がない、むしろ体調はすこぶる良好というものでした。これは彼にとって人生が一転するような素晴らしい出来事でした。

彼は自らの体験を通して、必要な栄養を取るためには現代の食事は必要なく、言ってみれば「化学物質の塊」を摂ればいいということを証明して見せたのです。彼はそれを、“ソイレント”と名付けることにしました。これが、後に言う元祖『完全食』なのです。

完全食という世界初のサービス開始の衝撃

ソイレントの販売当時(2013年)、いままで不可能とされてきた『完全食』の実現に、世界中の人々は驚かされました。同時に、健康に対する安全性や、食事の意義など様々な議論がなされました。食をどう捉えるべきかという課題は、今でも残っています。しかし、『完全食』の持つ可能性は、まだまだ計り知れません。現在では、世界中の様々な企業から、いろいろなタイプの完全食が開発されています。食とテクノロジーを掛け合わせた『完全食』は、まさに食のIT革命と言われています。

ソイレントの商品ラインナップ

ソイレントは、現在、パウダータイプ、ドリンクタイプ、スクエアタイプの３種類の形態で商品を販売しています。ここでは、実際に、どのようなものが市場に出回っているのかをご紹介していきます。

ソイレントパウダー

ソイレントパウダーは、粉末タイプの完全食です。パウダーを水に溶かして、シェイクするだけで、飲むことが可能であり、自宅での使用に向くでしょう。味の展開は、オリジナル、カカオ、カフェモカとなっています。

パウダーの完全食の特徴は、他のドリンクに混ぜて自分である程度味を調整することができることでしょう。朝の忙しい時間や少しの休憩時間でも摂取することができる利点があります。

ソイレントドリンク

ソイレントドリンクには、ソイレントDrinks、ソイレントCafe、ソイレントBridgeの３種類があります。どれも、蓋を開ければすぐに飲めるタイプの液体完全食であり、時間のない時の栄養チャージに最適です。

ソイレントDrinksは、1本400kcalで設定されています。味の展開は、オリジナル、バニラ、カカオ、ストロベリーとなっています。

ソイレントCafeも同様に、1本400Kcalで設定されています。味の展開は、カフェチャイ、カフェバニラ、カフェモカとなっています。コーヒーベースのフレーバーとなっていますので、大変馴染みやすい味でしょう。

ソイレントBridgeは、一本180kcalで設定されており、味はチョコレートのみとなっています。Bridgeというだけあり、間食としての使用を勧められています。普段の高カロリーなお菓子の代わりに使用することで、カロリーを控えるとともに栄養素をバランスよく摂取することができます。

ソイレントスクエア

ソイレントスクエアは、１個100kcalで設定されたブロックタイプの完全食です。味は、ブラウニー、塩キャラメル、柑橘ベリーとなっています。小分けされた商品なので、持ち運びも簡単で、おやつなど小腹がすいたときの食事に最適でしょう。

日本のでもCOMPが新しい商品「COMP BLOCK」を現在商品開発していますが、コンセプトが似ており、もしかしたらこの商品に着想を得ているのかもしれません。

まとめ

ソイレントの発想は、素晴らしいものですが、実際にその安全性はまだまだ確認しきれていないのが現状です。栄養補給という面では、完全食を食事のすべてにするのではなく、現段階では、ある一食の置き換えとすることが望ましいでしょう。これからの、完全食の発展に注目してきたいですね。

今回は完全食の誕生の歴史とソイレントについてスポットを当てて商品を紹介しました！次回もお楽しみに！